「経験を通して学びました」と「経験を通じて学びました」は、どちらも自然に見えるため、使い分けに迷いやすい表現です。
特に、履歴書や職務経歴書、ビジネス文書では、「通して」と「通じて」のどちらを使うべきか悩むことがありますよね。
結論からいうと、「通して」は手段や媒介を強調したいとき、「通じて」は期間や経験全体を通した結果を表したいときに使いやすい言葉です。
たとえば、「友人を通して知りました」は、友人が間に入ったという手段の意味が強くなります。一方で、「一年間の活動を通じて学びました」は、活動全体を経験した結果というニュアンスになります。
この記事では、「通して」と「通じて」の違いを、意味・ニュアンス・例文・履歴書やビジネス文書での使い方まで、やさしく整理していきます。
『通して』と『通じて』の違いを5分で把握するための読み方

まずは、「通して」と「通じて」の全体像をつかんでいきましょう。
どちらも「何かを経由して」「ある範囲を通って」という意味を持ちますが、文章の中で強調されるポイントが少し違います。
まず押さえる|通して・通じての基本的な意味とこの記事の狙い
「通して」と「通じて」は、どちらも「何かを介して」「何かを経て」という意味で使われます。
ただし、使う場面によって、読み手に伝わる印象が変わります。
| 言葉 | 中心になる意味 | 使いやすい場面 |
|---|---|---|
| 通して | 手段・媒介・経由 | 人や物を介する、方法を示す |
| 通じて | 期間・経験全体・範囲 | 経験や活動を経て得た結果を示す |
たとえば、「知人を通して紹介してもらった」は、知人が仲介したことが中心です。
一方で、「ボランティア活動を通じて成長した」は、活動全体を経験した結果が中心です。
この記事では、細かい文法用語よりも、実際の文章で迷わず使える判断基準を重視して解説します。
読み方と語形の確認:通して/通じて(通じ・ての違いも簡潔に)
「通して」は「とおして」、「通じて」は「つうじて」と読みます。
どちらも漢字では「通」という字を使いますが、もとの形が少し違います。
- 通して:動詞「通す」から来た表現
- 通じて:動詞「通じる」から来た表現
「通す」は、何かを通過させる、間に入れる、媒介させるというイメージがあります。
そのため、「人を通して」「窓を通して」「手続きを通して」のように、何かを介する場面で使いやすいです。
一方で、「通じる」は、つながる、届く、理解される、ある範囲に及ぶというイメージがあります。
そのため、「一年を通じて」「活動を通じて」「経験を通じて」のように、期間や経験全体を表す場面で使いやすくなります。
共通イメージと媒介の概念|手段としての「通して」と全体像の「通じて」
「通して」と「通じて」に共通するのは、「何かを間に置く」「何かを経る」というイメージです。
ただし、どこに焦点を当てるかが違います。
「通して」は、間に入るものや手段に注目します。
- 友人を通して知り合う
- 窓を通して外を見る
- 研修を通して知識を身につける
一方で、「通じて」は、ある期間や経験全体を経た結果に注目します。
- 一年を通じて学ぶ
- 仕事を通じて成長する
- 交流を通じて理解を深める
大まかに言えば、「何を介したか」を言いたいなら通して、「経験全体から何を得たか」を言いたいなら通じてが自然です。
違いの核心整理:手段・期間・ニュアンスで見分ける方法

ここでは、「通して」と「通じて」の違いを、手段・期間・ニュアンスの3つの視点で整理します。
この3つを押さえると、文章の中でどちらを選ぶべきか判断しやすくなります。
『通して』が示す手段・媒介としての使い方と効果
「通して」は、何かを手段や媒介として使うときに自然な表現です。
「Aを通してBする」と書くと、Aが間に入り、Bにつながるイメージになります。
- 友人を通して仕事を紹介してもらった。
- 先生を通して連絡を受けた。
- テレビを通して情報を知った。
- 窓を通して光が入る。
- 研修を通して基本を学んだ。
このように、「通して」は、方法や経路をはっきり示したいときに向いています。
履歴書や自己PRでも、「アルバイト経験を通して接客力を身につけました」のように、具体的な経験を手段として示すときに使えます。
ただし、期間全体の意味を強く出したい場合は、「通じて」の方が自然なこともあります。
『通じて』が示す期間・経験の総体としてのニュアンス
「通じて」は、ある期間や経験全体を経て、何かを得た・変化したという意味を表すときに使いやすい言葉です。
「Aを通じてBした」と書くと、Aという経験全体を通して、Bという結果に至った印象になります。
- 留学を通じて、異文化への理解が深まりました。
- 仕事を通じて、責任感を身につけました。
- 地域活動を通じて、人とのつながりを感じました。
- 一年を通じて、安定した売上を維持しました。
- 読書を通じて、考え方の幅が広がりました。
「通じて」は、単なる手段というより、経験や活動の積み重ねを表しやすい表現です。
そのため、自己PRや志望動機、ビジネス文書でもよく使われます。
「何を経験し、その結果どうなったか」を伝えたいときに便利です。
使い分けチェックリスト:文章でどちらを選ぶかの判断基準
迷ったときは、次のチェックリストで判断してみましょう。
- 人や物が仲介している → 通して
- 方法や手段を強調したい → 通して
- 期間全体を表したい → 通じて
- 経験全体から得た結果を伝えたい → 通じて
- 自己PRで成長や学びを伝えたい → 通じてが自然なことが多い
- 具体的な活動を手段として示したい → 通しても自然
たとえば、「知人を通じて紹介してもらった」も意味は通じますが、仲介の意味をはっきり出すなら「知人を通して紹介してもらった」の方が自然です。
一方で、「経験を通して成長した」も使えますが、経験全体からの学びを強調したいなら「経験を通じて成長した」がなじみやすいです。
文章の目的に合わせて、どこを強調したいかで選びましょう。
具体例で学ぶ:例文で比べる通して vs 通じて(就活・履歴書含む)

ここからは、具体的な例文で「通して」と「通じて」を比較します。
特に、就活や履歴書ではどちらもよく使われるため、自然な使い分けを知っておくと安心です。
就活・履歴書向けの例文|『通して』と『通じて』の実践的な使い分け(通して通じて履歴書)
就活や履歴書では、「経験を通して」「活動を通じて」のような表現がよく使われます。
どちらも大きく間違いではありませんが、伝えたい内容によって自然さが変わります。
| 表現 | 伝わる印象 |
|---|---|
| アルバイト経験を通して接客力を身につけました。 | アルバイト経験を手段として学んだ印象 |
| アルバイト経験を通じて接客力を身につけました。 | 経験全体を通して成長した印象 |
履歴書や自己PRでは、経験全体から得た学びを伝えることが多いため、「通じて」が自然に感じられる場面が多いです。
ただし、「研修を通して基礎を学んだ」のように、具体的な手段として伝えるなら「通して」も自然です。
迷った場合は、自己PRでは「通じて」を選ぶと、ややフォーマルで落ち着いた印象になります。
経験や職務経歴を表す例文集:どちらが自然か比較
経験や職務経歴を表す場合は、「通じて」が使いやすい場面が多くあります。
ただし、具体的な方法や経路を示すときは「通して」も合います。
- 営業職の経験を通じて、相手の課題を聞き出す力を身につけました。
- チームでの開発を通じて、調整力の大切さを学びました。
- 研修を通して、業務に必要な基礎知識を学びました。
- 上司を通して、取引先へ連絡しました。
- 社内ツールを通して、情報共有を行いました。
「経験を通じて」は、経験全体を経て得た成長や変化を伝える表現です。
「上司を通して」「ツールを通して」は、媒介や手段を示しています。
職務経歴書では、単に言葉をきれいにするだけでなく、何を経て何を得たのかを具体的に書くことが大切です。
SNS・日常会話での使い方例|表現の効果と受け手へのイメージ
SNSや日常会話では、「通して」の方がやや自然に聞こえる場面もあります。
一方で、少し丁寧に見せたい文章や、経験から得た学びを伝えたい投稿では「通じて」もよく使われます。
- 友だちを通して知り合いました。
- SNSを通してつながりました。
- このイベントを通じて、いろいろな人と出会えました。
- 育児を通じて、自分の考え方も変わりました。
- 読書を通して、気持ちが少し楽になりました。
日常会話で「通じて」を使うと、少し文章的・丁寧な印象になることがあります。
SNSでは、自分の経験や気づきをまとめる投稿なら「通じて」、具体的なきっかけや手段を話すなら「通して」が使いやすいです。
公用文・ビジネス文章での注意点と言い換え例

公用文やビジネス文章では、意味が伝わるだけでなく、誤解されにくく、自然な表現であることが大切です。
ここでは、フォーマルな文章での注意点と言い換えを整理します。
公用文での適切表現:誤用を避けるポイントと安全な言い換え
公用文や案内文では、「通して」「通じて」の使い方が少し硬く見えることがあります。
そのため、文脈によっては、よりわかりやすい表現に言い換えるのがおすすめです。
| 元の表現 | 言い換え例 |
|---|---|
| 窓口を通して申請する | 窓口で申請する |
| 研修を通じて理解を深める | 研修により理解を深める |
| 一年を通じて実施する | 年間を通して実施する |
| 担当者を通して連絡する | 担当者を介して連絡する |
公用文では、読み手が幅広いことを意識して、難しく見える表現を避けることも大切です。
「通して」「通じて」を使う場合は、何を介しているのか、どの期間全体を指しているのかが明確になるように書きましょう。
フォーマル文章で与える印象の違い(表現の効果・イメージ)
フォーマルな文章では、「通じて」の方がやや落ち着いた印象を与えることがあります。
特に、経験や活動を通した学びを表す場合、「通じて」は履歴書や自己PRにもなじみやすい表現です。
- 業務を通じて、課題解決力を身につけました。
- 地域活動を通じて、多様な価値観に触れました。
- 研修を通して、基本的な知識を習得しました。
- 担当者を通して、資料を共有しました。
「通して」は、手段や具体的な過程が見えやすい言葉です。
「通じて」は、経験全体や結果が伝わりやすい言葉です。
フォーマル文章では、成長・理解・学び・交流などを表すときに「通じて」を使うと、文章が自然にまとまりやすくなります。
文書チェック術:文章を見てどちらが適切か判断する手順
文章を書いたあとに、「通して」と「通じて」のどちらが適切か確認するには、次の手順が役立ちます。
- その表現が人・物・方法を介しているか確認する
- 経験や期間全体を表しているか確認する
- 「手段として」と言い換えられるなら通してを検討する
- 「経験全体を経て」と言い換えられるなら通じてを検討する
- 読み手にとって自然な言い換えがないか確認する
たとえば、「友人を通じて知りました」は、「友人を手段として知った」という意味なら「友人を通して知りました」の方が自然です。
一方で、「活動を通して成長しました」は自然ですが、「活動全体を経て成長した」と伝えたいなら「活動を通じて成長しました」の方がやや落ち着いた印象になります。
ニュアンスの微差を掘り下げる:感情・強調が与える印象

「通して」と「通じて」は、意味だけでなく、文章のニュアンスにも違いが出ます。
ここでは、受け手に与える印象の違いを見ていきましょう。
『通して』が与える印象|媒介・積極的なニュアンスの場面
「通して」は、具体的な行動や手段が見えやすい表現です。
そのため、何かを使って、何かを得たという積極的な印象を出しやすくなります。
- SNSを通して情報を発信する。
- イベントを通して交流を深める。
- 研修を通して知識を身につける。
- 体験を通して学ぶ。
「通して」は、行動の過程や手段を読者にイメージさせやすい言葉です。
カジュアルな文章でも使いやすく、少し動きのある印象になります。
ただし、フォーマルな自己PRでは、「経験を通して」よりも「経験を通じて」の方が落ち着いて見えることもあります。
『通じて』が与える印象|継続・期間・全体のイメージを強める場面
「通じて」は、ある期間や経験全体をじっくり経た印象を与えます。
そのため、継続・積み重ね・学び・成長を表す場面に向いています。
- 一年を通じて取り組みました。
- 仕事を通じて責任感を学びました。
- 交流を通じて相互理解が深まりました。
- 活動を通じて地域とのつながりを感じました。
「通じて」は、文章全体を少し落ち着いた印象にします。
履歴書・職務経歴書・ビジネス文書では、経験から得たものを伝える表現として使いやすいです。
何かを経た結果として、理解・学び・成長が生まれたと伝えたいときに自然です。
言い換えリスト|一目でわかる通して⇄通じての対応表(表現・言葉)
「通して」と「通じて」で迷ったときは、別の言葉に言い換えると判断しやすくなります。
| 表現 | 近い言い換え | 使いやすい場面 |
|---|---|---|
| 通して | 介して、経由して、手段として | 人・物・方法を間に置く |
| 通じて | 経験して、期間全体で、結果として | 経験や活動から学びを得る |
| 一年を通じて | 一年間を通して | 期間全体を表す |
| 友人を通して | 友人を介して | 人を仲介する |
「介して」と言い換えられるなら「通して」が合いやすいです。
「経験して」「期間全体で」と言い換えられるなら「通じて」が合いやすくなります。
ただし、実際にはどちらも使える場面もあるため、文章の目的に合わせて選びましょう。
よくある誤用と実践チェックポイント(例文つき)

ここでは、「通して」と「通じて」でよくある誤用や、不自然になりやすい表現を整理します。
例文を見ながら、自然な言い換えを確認しましょう。
典型的な誤用パターンと正しい例文での置き換え
よくある誤用は、手段を表したいのに「通じて」を使ってしまうケースです。
意味は伝わることもありますが、少し不自然に見える場合があります。
| やや不自然な例 | 自然な例 | 理由 |
|---|---|---|
| 友人を通じて紹介してもらった。 | 友人を通して紹介してもらった。 | 友人が仲介しているため |
| 窓を通じて外を見た。 | 窓を通して外を見た。 | 窓が媒介になっているため |
| 一年を通して成長しました。 | 一年を通じて成長しました。 | 期間全体の経験を表すため |
もちろん、「一年を通して」も使われる表現です。
ただし、経験全体から学びや成長を得たことを強調するなら、「一年を通じて」の方が自然にまとまりやすくなります。
大切なのは、媒介なのか、経験全体なのかを見分けることです。
履歴書・面接での安全な表現例(就活向けの具体例)
履歴書や面接では、「通じて」を使うと、経験全体から得た学びを伝えやすくなります。
次のような表現は、自己PRや志望動機にも使いやすいです。
- アルバイト経験を通じて、相手の立場に立って考える力を身につけました。
- ゼミ活動を通じて、課題を分析する力を養いました。
- 部活動を通じて、継続して努力する大切さを学びました。
- 接客業務を通して、お客様の要望をくみ取る力を身につけました。
- 研修を通して、業務に必要な基礎知識を習得しました。
「経験を通じて」は、履歴書で使いやすい定番表現です。
ただし、同じ言い回しを何度も使うと単調になるため、「経験から」「取り組みの中で」「活動を経て」などに言い換えるのもおすすめです。
文体別の見分け方:カジュアルな文章と公用文での注意点(言葉選び)
カジュアルな文章では、「通して」の方が自然に見える場面があります。
一方で、公用文やフォーマルな文章では、「通じて」や「により」「を介して」などの言い換えが合う場合もあります。
| 文体 | 使いやすい表現 | 例 |
|---|---|---|
| カジュアル | 通して | SNSを通して知りました。 |
| フォーマル | 通じて | 交流を通じて理解を深めました。 |
| 公用文 | により、を介して | 研修により理解を深める。 |
| 履歴書 | 通じて | 活動を通じて学びました。 |
文章の雰囲気に合わせて選ぶと、読み手に自然に伝わります。
特に公用文やビジネス文書では、やや回りくどく見える場合があるため、必要に応じて言い換えを検討しましょう。
まとめ:5分で理解できる早見表と即使える練習問題

「通して」と「通じて」は似ていますが、強調するポイントに違いがあります。
最後に、使い分けのポイントを整理しましょう。
早見表|一行で覚える『通して』と『通じて』の違い
一行で覚えるなら、次のように整理できます。
| 言葉 | 覚え方 | 例文 |
|---|---|---|
| 通して | 手段・媒介を表す | 友人を通して知りました。 |
| 通じて | 経験・期間全体を表す | 活動を通じて学びました。 |
迷ったら、「何かを介しているのか」「経験全体を表しているのか」を考えましょう。
人・物・方法が間に入るなら「通して」。
経験や活動を経て得た結果を伝えるなら「通じて」が自然です。
即使える例文3選と使い方チェック(練習用)
最後に、すぐ使える例文を確認しておきましょう。
- 友人を通して、その会社を知りました。
- アルバイト経験を通じて、接客力を身につけました。
- 研修を通して、業務に必要な知識を学びました。
練習として、次の文ではどちらが自然か考えてみてください。
| 文 | 自然な表現 | 理由 |
|---|---|---|
| 知人を〇〇紹介してもらった。 | 通して | 知人が仲介しているため |
| 留学を〇〇視野が広がった。 | 通じて | 留学経験全体から得た結果のため |
| 窓を〇〇光が入る。 | 通して | 窓が媒介になっているため |
意味だけでなく、何を強調したいかまで考えると、使い分けがしやすくなります。
今後の表現力アップ術|文章で差がつく使い方と効果
「通して」と「通じて」は、少しの違いで文章の印象が変わる言葉です。
ただ何となく選ぶのではなく、伝えたい内容に合わせて使い分けると、文章がぐっと自然になります。
- 具体的な手段を伝えたいときは「通して」
- 経験から得た学びを伝えたいときは「通じて」
- 履歴書や自己PRでは「通じて」が使いやすい
- 人や物を仲介する場合は「通して」が自然
- 公用文では「により」「を介して」などの言い換えも検討する
迷ったときは、文の中で「何が間に入っているのか」「どんな経験全体を表しているのか」を確認してみてください。
その視点を持つだけで、「通して」と「通じて」の使い分けはかなりわかりやすくなります。

